孤立するシニア
少ない会話頻度
単独世帯の65歳以上の2人に1人が、1日に1回も会話していない。
(推測されること)
住まいの近くに親しい人がいない
(将来困ること)
体力等の低下で遠方に行けなくなると孤立する
(理想は)
自宅近くに参加しやすいコミュニティがある
地域の情報が届く環境にある
これまでにない「つながるきっかけ」が必要
孤立の問題点
周囲に及ぶ様々な問題
ご近所や民生委員:
1)後期高齢者が多過ぎる
2)地域の楽しみや支援サービスに精通しているわけではない
3)急変に備えて定期的に訪問してもわずらわしいと言われる
離れて住む家族:
1)頻繁に帰省しなければならず負担が大きい
2)地域にどんなサービスがあるのか知る術がない
3)知らないご近所や民生委員を信用しづらい
4)本人の考えを聞けずに介護や医療で行き違う
事業者:
1)高齢者と家族へサービスを伝える術が少ない
2)効率を考えれば地域内の高齢者にサービスを提供したい
3)危ない高齢者がいても誰に伝えればいいか分からない
自治体:
1)申請がないと支援が必要な人を発見しにくい
2)自治会に入らない人が増えて伝えにくくなった
3)減災や復旧には地域のつながりが必要
警察/消防:
1)緊急時、家族に連絡がつかないと家に入れない(待機時間増)
2)持病・かかりつけ医・治療方針等の情報が欲しい
3)地域のつながりがあれば徘徊や犯罪を防ぎやすい
バラバラなままでは、社会が維持できない
孤独死の増加
13年で2.5倍、年間6万人を超える
誰にも看取られることなく亡くなり、数日以上経過して発見される(孤独死)が急増している。
警察庁の発表では、2024年1~3月に65歳以上の在宅孤独死は1万7,034人で、年間に置き換えると6万8,136人にのぼる。
65歳以上の単独世帯は700万人なので、100人のなか毎年1人ずつ孤独死していることになる。
2011年は2万6,821人(ニッセイ基礎研究所推計)だったので、わずか13年で2.5倍に増加した。
単独世帯の増加、80歳以上の増加、コミュニティの弱体化によるものと推察する。
孤独死の増加も問題だが、生前どんな想いで暮らしていたのかが気になる。
65歳以上の単独世帯は、2030年には800万人、2050年には1,000万になると予測されている。
このままでは隣人への無関心がさらに進み、恐ろしい未来が待っているだろう。
孤立問題を「次世代に先送りせず」当事者として取り組む
介護の実情
手助けが必要な日常
ここ数年、75歳以上のみの世帯がとても多くなってきた。
体力が低下してきた、子供に迷惑をかけたくない、お金は足りるのか、車を手放すと生活できない等、様々な不安を抱えている。
多くの人が介護保険に期待しているが、実は80~84歳の74%は公的な介護支援を受けずに暮らしている。要介護になっても、家族等のサポートが必要なことも知られていない。
どんな支援があるのか、どうすれば受けられるのか、民間のサービスも含めて地域差が大きく、全体を把握している人はおそらくいない。
「集いやIT」で知見を集めて共有
孤立する要因
社会構造の変化
核家族化の進行:兄弟が減り、生まれ育った土地を離れるため、親族とのつながりが希薄化した
地域社会の崩壊:都市化によって地域住民の交流が減少し、高齢化によってコミュニティが弱体化した
雇用形態の変化:非正規雇用の増加によって人間関係が不安定になり、交流が減った
情報化社会の到来:ネットの普及により人々は仮想空間に時間を費やし、現実世界での対人関係が疎かになった
個人の価値観の変化
経済格差の拡大:1980年代から始まった経済格差は親から子へと引き継がれ拡がり続けている
多様性の重視:個人の自由や多様性が尊重される一方で、他者との違いを受け入れにくくなった
伝統からの解放:伝統的な価値観にとらわれず、自分自身の価値観を大切にする人が増えた
プライバシー尊重:個人情報保護のもと家庭の状況に触れにくくなった
孤独への風潮:孤独を悪いことと捉えず、むしろ個人の時間を大切にする価値観が広まった